総理にならなかった男(2)
井上馨
悪評高い明治の汚職大臣である。
念のためにフォローにならないフォローをするなら、汚職大臣のさきがけは山県である。
さらにフォローにならないフォローをするなら、料理が趣味。ただし致命的にまずい。親王様すらときの大老に「お・・・お、おいしいです、よ」とお世辞を言うほど。それ以降悪化。
でも沢庵だけは冗談抜きにおいしいそうです。陛下のお墨付きをいただくほど。
そんななにかと話題の多い井上だが、彼は総理大臣になっていない。
汚職だから? いやいや、明治の重鎮で総理になっていない数すくない男なのだ彼は。
それも首相以外の全大臣職は経験済みなのだから、彼が首相就任しなかったのは、もはや恣意的に他ならないだろう。
事実第四次伊藤内閣解散後、次こそは井上が総理大臣に! と回りは動いた。
井上に「お願いします先生!」と頭を下げにいくと、顔に刀傷のある井上は、「渋沢が大臣をやるならかんがえてやる」とにやりと笑っていった。
議員たちは日銀のもとに走った。
「渋沢さん! 大臣になってください!!」
「断ります」
「そこを何とか! まわりの方も、何とか言ってください!!」
「この大切な時期に渋沢さんに抜けられたら困ります! いやです!!」
「回りも反対っすか!!?」
こうして渋沢は大臣職を拒否。
同時に第一次井上内閣も水に流れた。
そして後日談。
井上と渋沢が飲んでいると、
「渋沢、断ってくれてありがとな」
「断るダシに使わないでくださいよ」
と二人で笑ったといわれていたりしている(脚色アリ)
2008年10月10日|
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